「オルカン」の愛称で知られるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の純資産総額が、ついに10兆円を突破しました。
三菱UFJアセットマネジメントの発表によると、2026年2月9日時点の純資産総額は、
10兆22億円
となり、初めて10兆円の大台に到達しています。
しかも、その後も資産規模は拡大しています。
2026年7月24日時点では、
13兆2,055億円
まで純資産総額が増加し、国内投資信託の中でも最大規模のファンドとなっています。
2018年に誕生した投資信託が、わずか7年ほどで13兆円規模まで成長したことになります。
この記事では、
- オルカンの純資産総額10兆円突破は何がすごいのか
- なぜこれほど急速に資金が集まったのか
- 純資産総額が大きいことにどんなメリットがあるのか
- 10兆円を突破した今から投資しても問題ないのか
といった点について解説します。
オルカンの純資産総額が10兆円を突破
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、2018年10月31日に設定されたインデックスファンドです。
それから約7年4カ月後となる2026年2月9日、純資産総額が10兆円を突破しました。
純資産総額の成長を簡単に並べると、以下のようになります。
2018年10月31日
オルカン設定
│
▼
2023年4月
1兆円突破
│
▼
2024年1月
2兆円突破
│
▼
2024年7月
4兆円突破
│
▼
2024年12月
5兆円突破
│
▼
2026年2月9日
10兆円突破
│
▼
2026年7月24日
約13.2兆円
2023年4月14日に1兆円を突破し、2024年12月17日には5兆円へ到達。
そして5兆円を突破してから約1年あまりで、10兆円まで倍増しました。
特に2024年以降の成長スピードは驚異的です。
そもそも純資産総額とは?
投資初心者の場合、
「純資産総額10兆円ということは、投資家が10兆円入金したということ?」
と思うかもしれません。
厳密には少し違います。
純資産総額は、その投資信託が保有している株式などの資産から負債を差し引いた金額です。
イメージすると次のようになります。
投資家から集まったお金
+
株価上昇などによる資産価値の増加
+
配当など
-
解約による資金流出
-
運用上の費用など
↓
純資産総額
つまりオルカンの純資産総額が増加した背景には、
「投資家から大量の資金が流入したこと」
と、
「世界株式市場が成長したこと」
の両方が影響しています。
純資産総額が増えているからといって、その金額すべてが新規投資されたお金というわけではありません。
10兆円ってどれくらいすごい?
10兆円という数字は大きすぎて、なかなかイメージできません。
たとえば単純計算すると、
100万円 × 1,000万人 = 10兆円
です。
もちろん実際には投資家ごとの保有額はまったく異なりますし、先ほど説明したように純資産総額には運用益も含まれています。
それでも、1本の投資信託だけで10兆円を超えているという規模感は非常に大きいと言えます。
さらにオルカンは2026年2月27日、純資産総額で同じeMAXIS Slimシリーズの「米国株式(S&P500)」を上回りました。
この日の純資産総額は、
- オルカン:約10兆2,846億円
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):約10兆2,652億円
となっています。
そして2026年7月24日時点では約13兆2,055億円となり、国内トップの投資信託となっています。
オルカンはもはや「人気の投資信託」というレベルを超え、日本を代表する投資信託の一つになったと言ってよいでしょう。
なぜオルカンにここまで資金が集まったのか?
オルカンがこれほど急成長した理由はいくつか考えられます。
1.新NISA開始による資金流入
最大の要因の一つが、2024年からスタートした新NISAです。
新NISAによって長期の資産形成を始める人が増え、その代表的な投資先としてオルカンが選ばれるようになりました。
実際、三菱UFJアセットマネジメントによると、2024年以降は月次の設定額が1,500億円を継続的に上回り、2026年1月には過去最大となる6,605億円を記録しています。
1カ月だけで6,000億円を超える規模の資金が設定されたことからも、人気の大きさが分かります。
2.オルカン1本で世界中の株式へ投資できる
オルカン最大の特徴は、非常にシンプルです。
1本買うだけで、日本を含む先進国・新興国の株式へ幅広く分散投資できます。
ベンチマークとして採用されているのが、
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)
です。
イメージすると、
オルカン
│
┌───────────────┼───────────────┐
▼ ▼ ▼
日本株 先進国株 新興国株
│
┌────────────┼────────────┐
▼ ▼ ▼
米国 欧州 その他
という形です。
投資家自身が、
「アメリカを何%にしよう」
「日本株を何%にしよう」
「新興国株も少し買おう」
などと考える必要がありません。
世界の株式市場の時価総額に合わせて、自動的に投資先が調整されます。
これがオルカンの非常に大きな魅力です。
3.信託報酬が非常に低い
長期投資では運用コストも重要です。
オルカンの信託報酬は、
年率0.05775%(税込)以内
となっています。
たとえば100万円を投資した場合、単純計算した年間コストは約578円です。
100万円 × 0.05775%
↓
年間 約578円
もちろん実際の費用は計算方法やその他の費用などによって異なりますが、世界中の株式へ分散投資できる商品として非常に低コストです。
購入時手数料もありません。
長期投資では、
高コスト
↓
毎年運用資産から費用が引かれる
↓
長期間では大きな差になる
ため、低コストであることは重要なポイントです。
純資産総額が大きいと何がいいの?
では、純資産総額13兆円という巨大ファンドになったことで、投資家にはどんなメリットがあるのでしょうか。
ファンドが繰上償還されるリスクを考えにくい
投資信託は永久に運用されるとは限りません。
資産規模が小さくなりすぎたり、運用を継続することが難しくなったりすると「繰上償還」となり、予定より早く運用が終了する可能性があります。
しかし、10兆円を大幅に超える規模まで成長したオルカンについて、少なくとも資産規模の小ささを理由とした運用終了を心配する必要性はかなり低いと考えられます。
数十年間積み立てを続ける長期投資家にとって、これは安心材料の一つです。
巨大な資産規模は多くの投資家から選ばれている証拠
投資信託の商品性と人気は別物なので、
「人気がある=必ず良い商品」
とは限りません。
それでも、これほど継続的に資金が流入している事実は、多くの投資家がオルカンを長期投資の選択肢として利用していることを示しています。
特にオルカンの場合、
低コスト
+
世界分散
+
インデックス運用
+
新NISAとの相性
+
巨大な純資産総額
という分かりやすい特徴があります。
「複雑な投資をせず、世界経済全体の成長に長期間投資したい」という人にとって、非常に扱いやすい商品です。
ただし「10兆円突破=安全」ではない
ここは非常に重要です。
純資産総額が10兆円を突破したからといって、
元本保証になるわけではありません。
オルカンは世界中の「株式」に投資する商品です。
当然、世界的な株価暴落が起これば大きく下落する可能性があります。
また、三菱UFJアセットマネジメントも、オルカンの基準価額は株価だけでなく為替変動の影響を受けると説明しています。
円高になれば、海外資産の円換算価格が下がり、基準価額の下落要因になります。
オルカン=世界各国へ均等投資ではない
もう一つ勘違いされやすいのが、
「全世界株式だから世界中に均等に投資している」
という考え方です。
オルカンは国ごとに均等配分しているわけではありません。
世界の株式市場の時価総額に応じて投資しているため、現在は米国株の比率が非常に大きくなっています。
2026年7月時点でも米国株が約6割を占めています。
イメージとしては、
オルカン
│
├── 米国株 ───────── 約6割
│
├── 日本株
│
├── 欧州株
│
├── カナダ株
│
├── 新興国株
│
└── その他
となります。
つまり、
「世界分散しているから米国株の影響を受けない」
というわけではありません。
世界最大の株式市場が米国である以上、オルカンも米国株の影響を大きく受けます。
10兆円を突破した今からオルカンを買うのは遅い?
「これだけ人気になってから買うのは遅いのでは?」
と考える人もいるかもしれません。
しかし、純資産総額が10兆円になったことと、オルカンが割高かどうかは直接関係ありません。
オルカンそのものの人気によって値段が上がるわけではないからです。
オルカンの基準価額を左右するのは、基本的には投資先となっている世界各国の株価や為替です。
そのため、
純資産総額が増えた
↓
人気になった
↓
だからオルカン自体が割高
という考え方にはなりません。
重要なのは、
これから世界の企業へ長期間投資したいかどうか
です。
10年、20年、30年という長期投資を前提にするのであれば、「10兆円を突破したから買う」「13兆円になったから買わない」という判断をする必要はないでしょう。
むしろ10兆円突破後にやってはいけないこと
個人的に避けたいのは、
「オルカンが10兆円突破した!すごい!今すぐ全財産を入れよう!」
という投資です。
人気と期待リターンは別物です。
投資するときは、
生活防衛資金を確保する
↓
当面使わないお金を投資する
↓
毎月積み立てる
↓
相場が下落しても継続する
↓
長期間保有する
という基本的な考え方の方が重要です。
オルカンがどれだけ巨大なファンドになったとしても、株式市場が30%、40%下落するような局面では、オルカンも大きく下落する可能性があります。
そのときに耐えられないほどの金額を投資するべきではありません。
純資産10兆円突破はオルカンが「定番商品」になった象徴
オルカンの純資産総額10兆円突破は、日本の個人投資家にとってかなり象徴的な出来事だと思います。
かつて投資信託といえば、
- 商品が複雑
- 手数料が高い
- 銀行や証券会社の窓口で勧められる
といったイメージを持っていた人も多かったでしょう。
しかし現在は、
低コストのインデックスファンド
+
新NISA
+
長期積立投資
↓
個人投資家の資産形成
という投資スタイルが広く普及しています。
その代表的な存在がオルカンです。
2018年に設定されたファンドが、
- 2023年に1兆円
- 2024年に5兆円
- 2026年に10兆円
- 2026年7月には13兆円超
まで成長した事実は、日本人の資産形成そのものが大きく変化していることを象徴しているとも言えるでしょう。
まとめ:オルカン10兆円突破は長期投資家にとって大きな節目
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、2026年2月9日に純資産総額10兆円を突破しました。
そして2026年7月24日時点では約13兆2,055億円まで拡大しています。
今回のポイントをまとめます。
【オルカン】
2018年10月
│
└─ 運用開始
│
2023年4月
│
└─ 1兆円突破
│
2024年12月
│
└─ 5兆円突破
│
2026年2月
│
└─ 10兆円突破
│
2026年7月
│
└─ 約13.2兆円
わずか数年でここまで巨大な投資信託へ成長した背景には、新NISAの開始、世界分散投資の分かりやすさ、そして非常に低い運用コストなどがあります。
一方、
純資産総額10兆円突破=今後も値上がりする
という意味ではありません。
株価が下落すればオルカンも下落しますし、為替の影響も受けます。
投資家にとって重要なのは、「10兆円」というニュースを見て投資判断を変えることではなく、
低コストで世界中の企業へ分散投資し、それを長期間続ける
というオルカン本来の使い方です。
純資産総額10兆円突破は、オルカンが一時的な人気商品ではなく、日本の長期資産形成における「定番の投資信託」になったことを象徴する出来事と言えるのではないでしょうか。
※本記事は投資に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。
[参考]
https://emaxis.am.mufg.jp/fund/253425.html

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