「これまでの章でオルカンの凄さはよく分かったけれど、本当にオルカンだけでいいの?」 「米国株(S&P500)やゴールド(金)、日本株も少しは組み合わせた方がいいんじゃ…?」
NISA口座を開設し、生活防衛資金や期間の切り分けを学んだ方が、最後に必ず突き当たるのがこの疑問です。「あまりにもオルカン一択と言われすぎて、逆に不安になる」という気持ち、とてもよく分かります。
結論から、濁さずストレートにお答えします。 一般的な会社員や主婦の方が、老後資金や将来の資産形成を目的とするならば、本当に「オルカン以外は一切買う必要はありません」。オルカン1本だけで100点満点、いや120点です。
なぜ他の商品に浮気する必要が全くないのか、そして他の資産(米国株、日本株、金など)を組み合わせなくていい理由を、すっきりと解説します!

なぜ「オルカンだけ」で120点と言い切れるのか?
「1つの商品だけに全財産を預けるなんて、分散投資になっていないのでは?」と感じるかもしれませんが、それは誤解です。
第2章でもお話しした通り、オルカン(全世界株式)という商品は、名前こそ1つの投資信託ですが、その中身は「地球上の主要な国々(約50カ国)の、超一流企業約3,000社」が詰まったお徳用詰め合わせパックです。
あなたがオルカンを100円分買うだけでも、そのお金は自動的に以下のように世界中へ分散されます。
- アメリカ(Apple、Microsoft、Amazonなど): 約6割
- 日本(トヨタ、ソニーなど): 約5%
- その他(イギリス、フランス、新興国など): 残り約3割
つまり、オルカンを買うということは、すでにこれ以上ないほどの究極の分散投資を完了している状態なのです。自分で「アメリカ株を何%、日本株を何%…」などと組み合わせて管理する手間は、一切必要ありません。
さらに本質的なことを言えば、投資において「オルカン以外の優れた投資先を必死に探すことよりも、オルカンを信じて15年、20年と『長期』でやり続けること」のほうが遥かに重要です。いくら利回りの高そうな別の商品を見つけても、途中で脱落しては意味がありません。最も腰を据えて長く続けられる安心安全な土台こそが、オルカンなのです。
「他の投資先」を組み合わせなくていい明確な理由
よく比較に上がる他の投資先について、あえて個別に買う必要がない理由を整理してみましょう。
1. 「S&P500(米国株)」を組み合わせる必要はある?
「アメリカ経済が最強だから、S&P500も半分混ぜたい」という声をよく聞きます。 しかし、前述の通りオルカンの約6割はすでにアメリカ株です。オルカンを握っている時点で、十分にアメリカの成長の恩恵は受けられています。 もし今後、アメリカの勢いが落ちて他の国(例えばインドやヨーロッパなど)が台頭してきた場合、オルカンは自動的にアメリカの割合を減らし、伸びてきた国の割合を増やすという「中身の入れ替え」を勝手に行ってくれます。 私たちが未来の予測をして、バタバタと買い直す必要はありません。
2. 「日本株」は個別に持たなくていい?
「日本人だから日本の企業を応援したい」という気持ちは素敵ですが、投資の成績(リターン)という面では、オルカンに含まれる約5%の日本株枠だけで十分です。もし日本株を増やしたい場合は、自分の本業の給料(円建ての収入)があること自体が、最大の日本経済への投資になっていると考えましょう。
3. 「ゴールド(金)」や「債券」は混ぜるべき?
「株が暴落したときのために、値動きの違う金や債券も買うべき?」という疑問もあります。 確かにこれらは株のクッションになりますが、その分、長期的な増え方(利回り)の勢いは落ちてしまいます。私たち初心者にとっての最強のクッション(守り)は、第10章・第11章で学んだ「十分な現金(生活防衛資金)」です。中途半端に値動きする金や債券を混ぜて頭を悩ませるくらいなら、ガチッとした現金を銀行に残し、投資枠はオルカン100%で攻める方が、シンプルで効率的です。
それでもオルカン以外に分散したい場合のポートフォリオ(資産構成)例
「理屈は分かったけれど、どうしても精神的に『株100%』だと暴落時に夜も眠れなくなりそう」「株式以外の資産にも少しは触れてみたい」という方もいるでしょう。投資において自分のリスク許容度(メンタルの強さ)に合わせることは長期継続のために大切です。
もし、オルカン以外にも分散して自分だけのポートフォリオを作りたい場合の、初心者向けの実例を2つ紹介します。
パターンA:【鉄壁の守り】マイルド運用ポートフォリオ
- オルカン(全世界株式):80%
- 個人向け国債(または国内債券インデックス):20%
株式の爆発的な成長力をベースにしつつ、値動きのほとんどない「債券」を2割混ぜるスタイルです。世界中の株が30%暴落したとしても、全体の資産の凹みをマイルドに抑えてくれるため、初心者でもオロオロせずに長期投資を続けやすくなります。
パターンB:【インフレ対策】実物資産プラスポートフォリオ
- オルカン(全世界株式):90%
- ゴールド(金)インデックス:10%
「もし世界的な大インフレでお金の価値が下がったら…」という不安に備え、歴史的に安全資産とされるゴールド(金)を1割だけトッピングする形です。金は利息を生まないため、あくまでメインはオルカンとし、10%程度の「お守り」として組み合わせるのが長期でパフォーマンスを落とさないコツです。
オルカン一択に関するFAQ(よくある質問)
「本当にオルカンだけでいいの?」という不安を完全に解消するためのFAQです。
Q1. 他のインフルエンサーが「これからはインド株だ」「高配当株がいい」と言っていて心が揺らぎます。
A. 周りのノイズは完全に無視してください。彼らとあなたの「目的」は違います。 SNSやYouTubeで尖った投資先を紹介する人たちは、「再生数を稼ぎたい」「他と違う面白い情報を発信したい」という目的があるケースがほとんどです。「地味にオルカンをガチホしましょう」という発信ばかりでは、誰も見てくれないからです。 第8章で学んだ通り、世界のプロの8〜9割がオルカン(市場平均)に負けています。隣の芝生が青く見えても、あなたは世界の中心でただどっしりとオルカンを握り続けていれば、最終的に勝者になれます。
Q2. オルカン「だけ」に投資していて、万が一その商品(ファンド)自体が潰れたらどうなりますか?
A. 法律によってあなたのお金は100%守られているので、1円も国や証券会社に没収されません。 投資信託の仕組みとして、私たちが預けたお金は、証券会社や運用会社(三菱UFJアセットマネジメントなど)の財産とは完全に切り離され、信託銀行という場所に厳重に保管されています。万が一、運用会社やネット証券が倒産するようなことがあっても、あなたの資産は別の会社に引き継がれるか、その時点の時価できちんと現金として返ってきます。
【まとめ】引き算の投資が、結果的に一番強い
今回の授業のまとめです。
- 長期の重要性: 別の投資先を血眼になって探すより、長期でやり抜くほうが何倍も価値がある
- 真実: オルカンは1本で「世界分散」が完成しているため、他の商品は足さなくていい
- 最終結論: 「守りは現金、攻めはオルカン」の2択だけにするのが、最も美しく強い
投資を始めると、あれこれ手を出したくなる「足し算の思考」になりがちです。しかし、インデックス投資において最も素晴らしいのは、無駄なものを一切削ぎ落とした「引き算の思考」です。
商品選びや資産の組み合わせに頭を使うのは、今日で終わりにしましょう。 その分の貴重な時間は、自分の仕事や副業、家族との時間、趣味の楽しみに100%注ぎ込み、入金力を高めることに集中する。
これこそが、私たちが自信を持ってお届けする、NISAを使った資産形成のいちばん賢くてシンプルな「最終結論」です。胸を張って、オルカン1本でのんびり進んでいきましょう!
[参考]
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | eMAXIS(イーマクシス)

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